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Family と G.F. について
オンライン個展 "the night falls" この2点は共通したテーマがあるので、まとめてご紹介することにしました。
今回の個展作品は2020年6月、コロナによる外出自粛期間に作成しています。
この時期に起きた大きな事件として、アメリカで起きた、白人警察官によるジョージ・フロイドさん殺害事件がありました。
それに端を発した人種差別反対運動 "Black Lives Matter" は大きなうねりとなり、その仔細は遠く離れた日本にも直ちに知れ渡ることとなりました。
今回の運動は、「警察が組織として、内部の人種差別的な行動に対して厳しい目をもって対処してほしい」ということが目標になっていると聞いています。
ですが、みなさんもわたしも、それ以前に大切なことは分かっています。
それは、どんな人にも家族や生活や積んできた人生があって、それをないがしろにする権利は誰も持っていないということです。
わたしはジョージ・フロイドさんの数少ないセルフィ―や、そのあとに演説を行った弟さんの映像を見たことで、それを強く感じアートとして発信しようと決意しました。
"family" と "G.F." は日本産の黒い万年筆インク「竹炭」を使用しています。
色々な黒インクを使った結果、「竹炭」はわたしが使う次亜塩素酸ナトリウム溶液によって、黒人の肌色のように変色することが分かりました。なのでこれは、日本人であるわたしが黒人の人々についての表現を行うのにふさわしい素材と考えました。
"family" について

当初、「人種差別で亡くなられたかたにも、家族がいたのだ」という追悼の意味合いをもって白いバラを描いていましたが、追悼までで止まってはいけないように感じました。
黄色いバラの花言葉のひとつに「希望」があります。
一本のバラは、家族の絆。子どものつぼみや大輪の花が繋がっています。
それに、白よりも黄色の明るく力強いバラのほうが、黒人の方々の「それでも、立ち上がる」おおらかさやたくましさに似合うと思いませんか。
星座として描きたかったので、控えめな作品に仕上がりました。一部、顔料による金色のラメが輝きます。
"G.F."について

シルエットは、ジョージ・フロイドさんのセルフィーをもとに設計しています。
このセルフィ―でわたしは、彼の背景にある真新しく規則的に並んだレンガに注目しました。わたしが2020年2月に訪問した感触ですと、アメリカでは昔からレンガが建築素材として多用されていて、それが生活環境の一部となっているように思いました。 (地震が多い日本では、近年の建築素材としてレンガはあまり使われていません)
ジョージさんのありし日の生活に想いをはせつつ、いま彼は、空へいってしまってからも、わたしたちに様々なことを考え続けさせる星になっていることを表現しています。
ラメインクを含む顔料を複数活用し、様々な色味のゴールドが輝く作品として仕上げました。 使用画材(2作品共通): 万年筆インク
パイロット色彩雫「竹炭」
顔料インク
次亜塩素酸ナトリウム溶液