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オンライン個展 "The night falls" ごあいさつ
オンライン個展 "The night falls" - 想いと共に更けゆく夜
2020.08.01 - 08.31
を開催しました。

御覧いただいたみなさま、コメントをくださったみなさま、誠にありがとうございます。 当展のコンセプトや成り立ちについて、以下に解説します。
個展の依頼を JCAT (NYのギャラリーチーム)からいただいたのは 2020年 6月です。
そこから新作7点を製作しました。
この頃日本では新型コロナウイルスの第一波が来ており、国や県から外出自粛奨励要請が出ており、家族とずっと家で暮らす日々を送っていました。
わたしは現在、都会に暮らしています。
いろいろなものが素早く手に入りますが、建物や道路といった環境の何もかもが細かく仕切られています。
植栽は多いですが、自然豊かではありません。
夜は、街明かりが強いため星があまり見られません。
普段にも増して外出ができなくなったことで、普段目につく場所にも美意識が向くようになりました。
身の回りにある何気ないもの、当たり前と思ってきたものに美や感動を感じられるようになったと思います。
また、遠くの広い場所へのあこがれも強まり、都会のあかるい夜空ではなくて、星がよく見える広大な夜空への想いがつのりました。
当個展では万年筆インクを活用し、広大な夜空をベースとした背景に、わたしが愛する小さきものや、大切にしたいものをちりばめています。
製作時期に起きた特殊な事件 - 社会全体における新型コロナウイルスへの対策措置、アメリカで起きた人種差別撤廃運動(Black LIves Matter ) - は、わたしの作品にも影響を与えざるを得ないインパクトがありました。
黒い2作品は、白人警察官によって殺害されたジョージ・フロイドさんや、これまでに同様の人種差別による迫害にあった方々への追悼をベースに製作しています。
今回、すべての作品において、ウイルス殺菌の用途で知られている次亜塩素酸ナトリウム溶液で色抜きを行っています。わたしは、万年筆インクをはじめ、本来の用途ではない使い方をすることでその素材がアートとして昇華してゆく瞬間が好きです。
黒い2作品では、日本の万年筆インク「竹炭」とこの溶液との組み合わせで、黒人のかたの肌色に近い色を表現しています。
当個展の7作品は「ひとつの夜が更けてゆくさま」として連動しています。 太陽の女神を迎えにゆく黄昏からはじまり、ひとりの人間の尊厳が輝く夜更けまで、長く美しい夜のグラデーションをお楽しみいただければ幸いです。