momokei
「内緒ね」について
2019年 小作品

「一輪の花と同等の詩が書けたら。」
という言葉を置いたのは、谷川俊太郎さんだったと思います。
道端や花屋さんで見かける花ひとつひとつに命があり、美しいなとしみじみ思います。
この作品は、自分の部屋に迎えた一輪のバラをモデルにしています。
細い花瓶にそれだけを活けておきましたら、あるとき葉がバラの手のようになっていて、自分の唇に指先を当てて「シーッ」とやっているように見えました。
花は、活けて・眺めて・きれいだなで終わるものと思っていましたが、
そんなのは自分の心の持ちようであって、ここへやってきた生きものとしての仕草が見つかることもあるのです。
家族はいますが、自分ひとりでやるせない思いを抱えている瞬間もあります。
そんなときは、バラに打ち明けるといいかもしれません。
このバラは、わたしと小さなことばを共有してくれたともだちでした。
さびしさが少し薄れて嬉しかったので、その気持ちを忘れないように作品にしました。
作品は細く小さめ、かわいらしく仕上がりましたが、凛とした存在感のある額で仕立てました。お部屋で愛でていただければ幸いです。
使用画材:
万年筆インク
色彩雫 「秋桜」
京の音 「裏葉色」
monteverde 「Jade Noir」
ipaper 「北投地熱温泉」
diamine 「electric pink」「golden ivy」「golden sands」
artisanpastellier 「havane」
herbin 「cacao du bresil」
vintainks 「pastel blue」
紙はグラフィーロ